修士の方々は、今日が最後の締めくくりとなる、修士論文発表だった。この発表は一日行われ、学部を終えてから、2年間自らが研究した成果が発表される。先輩方の発表を聞いて、多くの学ぶべき点があった。発表のしかた、研究内容への理解、質疑応答への準備、すばらしいと思う発表をされる方が数多かった。これによって自分の今かいている卒業論文との比較、またこれから提出するまでの短い期間内でどのようなことをするべきか、再考できるきっかけともなった。

大いに参考になった発表の中からまねしたいと思ったことについて述べると、声の大きさ、間のとり方、レーザーポインターでの聞き手の誘導、時間配分、そして質疑応答用に準備しているスライドの数が半端ではなかったということがあった。初めの4つにおいてはよく言われることなのだが、何度も練習しないと身につかない。空気を吸うようにできるようにならなければならないのだ。私も去年、フランス語での発表が数多くあったのだが、何度も友人や先生の前で練習を重ねた。たかが一回だけの発表といえども、またどのような発表であれども、発表するとなった以上全力で行うものだ。質疑応答用に準備しているスライドの量にも驚いた。あらゆる観点から自分の研究を客観視し、自分の研究を説明できなければならない。本当に驚くほどの量の準備スライドだった。発表に用いた量の3倍はあったのだろうか。また、この発表の後の休憩時間に直接その方に話を聞きに行き、どのように発表練習を行ったかと聞いたら、15回くらいはやったということだ。やはり練習ありきの、すばらしいプレゼンなのだ。

発表の内容に関しては、本当に専門的であった。私の所属する同学年の人たちがやっていること、私が行っていることとも比べても、全く比ではない。加えて、展開が非常に論理的だ。理解するのが遅れて発表についていけなかったものも多々あるのだが、それでも筋が通っていると感じる。この中でも一番驚いたのは、内容は難しいものなのだが、発表の仕方によっては難しい内容も理解できているのではないかと思うほどの発表もあったため、改めて発表のうまさについて認識した。

さらに、教授の方々の知識の多さにも改めて驚いた。まったく他分野のことであるのに、質問できる、そしてそれを聞いている私は何を質問しているのだか分からない。どうすればあのような観点からものを見られるのだろうかと心から感心してしまうような質問等もあった。やはり教授の方々はすごい。

そこで、自分の研究はどのような状態なのかを改めて整理し、修士の方々のものと少し比べてみようとした。しかし、私の研究で非常にクリティカルなことは、期待する結果がでていないこと。これが一番の懸念材料である。また、それぞれの先生方が私に伝える研究目的が未だあいまいなので、ここを明確にしたい。このため、まだすべてを比較しようとしてもできない。実験方法のところまではできるはずなので、そこまではどうなっているのかを確認したい。

私の研究の背景は次世代磁気ヘッドの作成に関するものである。先行研究を受けて、私の研究がある。そのため、緒言の部分ではこの説明ははずせない。そして、実験方法。先行研究との違いは、試料を加熱しながら観察するということである。この点を分かりやすく聞き手に伝えることが初めの課題。次に組織観察の結果、考察をどのような展開にするか。先行研究の結果をヒントに予測しておきたい。おそらく、通常の核発生から始まり、凝集が起こり、析出物が成長していく過程をとるのではないかと思われる。また、その後の母相の析出についても同じように起こるのかもしれない。問題は、金属原子の析出と絶縁物質の析出が非常に近い温度で連続して起こることが予想されるため、この点をどのように実験で観察するかということだ。

また、同時に発表概要と、プレゼン試料の作成にも取り掛かりたい。今手中には是非とも完成させたい。

今日の発表は自分の論文制作の大いなる励みになった。