私の作成する試料には多量のプラチナが含まれているため、プラチナ量を減らすことが課題となった。そこで、今週はまず、試料作成用の材料の調整から始まった。この材料はどれくらいの表面積を持つかが重要で、表面積の多さによって作成される材料は異なる。ただ、資料作成用装置内に入れるプラチナを減らせばいいだけなのだが、そのプラチナは0.25πの面積を持っていなければならない。このためには直径1センチの円盤を切り抜くのが手早い。√0.25πの正方形を作るのは困難だ。そこで、先輩に何か方法はないかと聞いてみたところ、油圧ポンチと呼ばれる装置があることを知らされた。この装置は、硬い金属でも切り抜けるような仕組みになっている。例えば、金属円盤に対し、真上から硬い素材でできた中空の金属を押し付ける。切り出した結果、直径1センチの円盤が切り抜かれていれば良いというわけだ。

そこで早速、どこにあるかを探してみた。どうやら他の研究室にあるということが分かり、訪ねてみた。その装置に詳しい先生がまだ見えていなかったので、来られるのを待った。すると先生がお見えになり、曰く、確かにポンチで切り抜くことができるが、切り抜かれてできる円盤はぼろぼろだということだ。私が欲しいものは、真平な円盤である。違う。そこで新たなアイデアとして、電子ビームが放つ熱を用いて金属を切る装置があるというのでそれを使おうということになった。

ここで私は4月から働く会社の配属面談があり、それに行かなければならなかったので少し間を空けてもらうことにした。

面談が終わり研究室に戻ると、早速その装置を使ってプラチナを切ることにした。まったくの新しい装置だったので、そこの研究室の方に切っていただいたのだが、理想とするような形にプラチナが切れた。まさに真ん丸。しかも直径1センチという小ささにもかかわらずきれいに切れていた。これによって私の実験が大きく進む。

当研究室の先輩の先行研究により、この直径1センチのプラチナを使うもので試料ができれば、目的とする組成の試料が作成できる。本当にこれで目的とする結果を得たい。23日中には結果が出るだろう。先輩にどのような組成で材料を使っていたかを聞くのが遅すぎたことを少し悔やむが、現在この位置まで実験が進んだことはすばらしいと思う。