今日は朝からデータ整理をした。昨日遅くに得られたデータを、今日は朝一番で終わらせようとて取り組んだ。意外にも一日で取れたデータの量の多さに、結構時間がかかってしまった。その後、すぐさま先生のところに整理したデータを持っていき、ディスカッションした。やはり、まだ期待する組成の試料が作れていない。その試料にはあまりに金属の量が多すぎて、抵抗値が低く出てしまう。電子顕微鏡でとった、350℃で熱処理を施した試料の写真にも、少しは試料から金属原子の析出が見られるのだが、予想とは違う。

ところで、私の研究では、去年非結晶金属材料の磁気抵抗について論文を提出した先輩がいるのだが、その先輩が作った試料とまったく同じ組成の試料を作成することがまず初めの課題である。次に、その試料が作れると350℃を境に、その温度以前は金属原子の析出、それ以降の温度では非結晶の析出が起こる。この様子をその場観察でビデオ録画しながら観察するというものである。

さて、得られたデータに困ってしまったのである。そこで先輩に連絡をとってみることにした。その先輩はインドネシアからの留学生で、昨年秋に博士号を取得し、その後はアメリカのテキサスにて、半導体メーカーで働いている。テキサスと日本の間で連絡を取らなければならないということで、うまく連絡が取れるのか心配したが、まず電話をしてみることにした。時差を考えると、日本のお昼はちょうど向こうの夜なので「出てくれるかな」と思い電話したところ、すぐに電話に出てくれた。懐かしい、あの先輩の声を久しぶりに聞けてうれしかった。そして試料作成に困っているという話をした。するとメールですぐに詳細を送ってくれるというので、自分の困っていることを詳細にメールに書き、返事を待った。その返事も早かった。ものすごくうれしかった。意外に頼れる先輩なのかもしれないといまさらながらに思ってしまった。

その先輩からのメールに記載してあった試料作成に必要な材料比は以外にもプラチナの量が少なく、私の現在加えている量とは大きく違うものであった。もっと早く連絡しておけばよかったと、また後悔してしまった。しかし、連絡がこのときに取れたことは非常に良かった。これ以上遅くなることを避けられたからだ。まだ卒論提出にも時間があるため、まだ間に合う余裕はある。

そして、先輩が作っていた試料と同じ組成の試料を作るべく、こういった形で実験を進めましょうと、先生に話しに行った。プラチナの量を少なくするだけでよいというのはうれしいのだが、その加工に少し困った点が現れた。如何にしてプラチナを削るか。試料作成に準備している材料とは直径2センチの円盤なのだが、先輩は直径1センチの円盤を用いていたらしい。ただ切ればよいという話なのだが、いかにして切ろうか。はさみなどで切れる代物ではない。何か特殊なものを使って切るのだろう。明日、材料加工をやっている先生のところに相談しに行くことにしよう。

これと同時に行わなければならないのは、加熱ホルダーの信頼性を確かめること。顕微鏡内で温度を上げながら試料を観察するのだが、顕微鏡内すべてにおいて温度を上げるわけには行かない。試料付近だけを加熱するのだ。これもまた他の先生のところに相談しに行ってみよう。