近年、急速にパソコンの市場は拡大し、一家に一台というよりも、一人に一台の時代になりつつある。そのパソコンにはCPUと呼ばれる中央演算装置が組み込まれており、パソコンの頭脳と呼ばれる。また、その演算を補助する役割としてメモリが組み込まれている。CPUが高性能であればそのパソコンの計算処理速度は速いのだが、メモリの量が少ないと、その計算が補助できないため、結果としてあまり良いパフォーマンスは出せない。逆もまたそうである。加えて、突然パソコンに多くの命令を出すと、一つ一つ出せば難なくこなせる命令であっても、そのパソコンの動きが極端に遅くなったりする。CPU使用率100%というものだ。

今日、私の身にも、このパソコンの動きが遅くなることに例えられるような出来事が起こった。ディスカッション用のデータを急に見せる事になり、何から手をつければよいのか分からなくなってしまったのだ。

その成り行きはというと、実験中に一つ疑問が浮かび、助手の方にその実験方法を少し変えてみたらどうかと相談しに行ったときだった。相談していたところに教授が見え、現在の私の実験はどのように進んでいるかという話になり、出ているデータを持ってきなさいということになった。この瞬間私のCPUは使用率100%となってしまった。1月に入ってから実験の量は大幅に増え、後に整理しようとおもっていたため、様々データが色々なところに散らばっていたのだ。また、一つの実験から出るデータ量が多いものもあるため、整理に時間がかかる。

そのとき、どのデータを教授が欲しがっていたかを正確に言えば、磁気抵抗測定においてそれぞれの試料でのResistivityはどのようなデータが出ているかということだった。これは単純な計算で出るのだが、私のCPUが100%となってしまった原因は二つあると思われる。自分がこのような事態になることを予想しておらず、「だめなやつだな」と思われるようなことをしてしまった後悔の念が一点目。付け足すと、仕事で忙しい教授の方々を待たせてしまって申し訳ないという気持ちがあった。二点目は、数多くあるデータのうちからいかにして素早く必要とする場所を探し出し、計算して提出できるかということが同時に頭に浮かんでしまったということである。

これら二点に対して、改善策を考えておこうと思う。まず一点目の教授たちを待たせる事態になってしまったことについて。これに対しては、データが出たらその直後にすぐそのデータを整理しておくということに尽きるだろう。計測器が打ち出したデータはすぐに自分のPCに取り込み、データリストを作っておくこと。またそのデータにより計算したり、比較したりしてできた表やグラフはすぐにでもディスカッションできるようにプリントアウトしてファイリングしておくこと。その日に出てきたデータはその日のうちにまとめて整理しておきたい。二点目のデータ整理のメソッドに関しては、一度落ち着き、頭の中でどのような道を通れば最短で最高の結果が得られるのかを考えたい。処理しなければいけないデータが多いのならなおさらだ。一度進み始めると初めに戻って考えるのは至難だ。最初にエクセルのマクロのようなものを作成し、あとはそこにデータを取り込めばよいといった方法であればいちいちルーチンをする手間も省ける。つまり、ソフトについての知識があれば効率が上がるということだ。

CPUは使用率100%になってしまうと、その間使用者は何もできない。今日の場合、使用者は教授であり、私がパソコンであろう。使用者がパソコンの使用率を100%にしないというのも重要であると思うが、優秀な使用者は優秀なパソコンを使えば、パフォーマンスは最高になると思われる。会社に入ったら、私は使われる身になる。チャンスを逃さないようにまずは優秀なパソコンになりたい。